シリーズ前作の藤森里穂バージョンは正直いまいちだった。監督が替わって終始ギスギスした雰囲気でやってるだけの作品に変わってしまい、犬神涼監督と比べてなんと薄味になってしまったのかとレビューにもはっきり書いた。
この作品も監督同じだし台本も演出も大筋では変わらないのだが、なぜか雰囲気が全然違う。こちらの見る目が変わったのかと藤森版を見返してみたが感想は変わらず。やはり今作のほうが圧倒的に見やすいし話の筋も受け入れやすい。やたら冷たく暗かった映像や、まるでマネキンのようだったエキストラの使い方が改善されているのも要因だとは思うが、それ以上に女優と男優の違いが作品の質を根本から変えちゃってる気がする。
まず男優に結城くんがカムバック。藤森版の男優は南佳也と同系のヤカラ感がすごくて、役どころに合っておらず女優とも変な緊張感があったのに比べて、リラックスした雰囲気で北野未奈と夫との間に漂う緊迫感との良い対比になっており、演技力の違いを見せつけてる。経験豊富な人妻と未熟な若者というジェネレーションギャップまでは表現できてるか微妙だし、設定的にセックスが上手いのはどうなの?ってとこはあるが、田淵くんばりにねちっこい後戯の質の高さといい、カラミは安心と信頼の結城クオリティ。
女優も結城くんとの相性がいいのか、身も心も許しているような安心感のある和らいだ雰囲気で、セックスにも前作のようなやさぐれた感じはなく、夫とセックスレスなのに「責任は私が取るから」と妊娠覚悟で中出しを望む破滅型の背徳感が利いている。声の演技だけに頼ってた以前と比べて、脳イキが伝わるような表情の演技も格段によくなってて、女優としての地力を確実に上げてる印象。
夫役の男優はあまり見かけない若手で演技も素人くさい危うさがあるものの、北野未奈とのバランスはギリギリセーフだし、作品に必要とされる結城くんと対称的な緊張感をいい感じの目つきの悪さで提供してくれていて貢献度は高め。
やっつけっぽさがなくなって演出も改善されたとは思うけど、何より演者の演技力が台本のポテンシャルを引き出した作品。やはりメインの2人の間に愛が感じられることが必須なので今後もキャスティングにかなり左右されそうだが、このクオリティが維持できるなら犬神作品と比べても悪くないと思う。
じっくりゆっくり
2022-04-21