古いタイプのSM物のAVには興奮できないことが多い。ガンガン責めるSは出てきても、ちっともMが出てこないからだ。縛られて、叩かれて、突っ込まれて、喘いでいるだけ…それのどこがMなんだろうか。ときどきそこで恍惚とする女性が出てくるが、それは果たしてMだろうか。男性たちに汗をかいてもらって気持ち良くなっているマグロ女性たちって…むしろけっこうな身分の女王様なのではないだろうか。
SMというのは精神の状態を描いていないといけない。「男が女をガンガン一方的に責める」だけのことをSMと言うのはやめてほしい。SMはSの欲望を描くのではなく、Mの欲望を描くもの。世間のエロ小説では質の高い低いはあれどほぼ共有されているのに、なぜかAVになると途端に単に粗暴なだけ、女性の体に負担をかけるだけの行為をSMと呼び始める。映像の中のS男性の欲望は満たされるが、見ているこっちの欲望はちっとも満たされない…老舗のSM物メーカーが作ってきた悪い風潮だと思う。
このW肉便器シリーズは「女性の支配」をしっかり精神から描いている。馴れ初めはどうだったのか知らないが、とにかく女性は男性にぞっこんだ。心も体も男性抜きにはどうにもならない。そこには愛情がある。だから「もう一人の女性」の存在は精神を追いつめる。その視線によってペット扱いを受けている自らの惨めさが露わになるが、理不尽な命令にも甘んじるしかない。しかし、葛藤の中で受け入れた屈辱は欲望に火をつけて、やがて喜びになって女性自身の意思として受け止めていく…こうした責める者と責められる者の共同作業がきちんと描かれているのがこのシリーズの良さだと思う。
前半は屈辱を受け入れるためにオナニーさせられていた女性たちが、後半は物理的に束縛しなくても,いちいち命令されなくても、自らの秘所をまさぐって肉欲をむさぼらずにはいられなくなる様子はとても興奮する。こうした精神そのものを捻じ曲げ、肉欲が支配していくさまを見せてくれる作品は貴重で、このシリーズの大ファンである。
これからも「気品ある女性の心が折られて」(ここがまだ少し弱いのが惜しい)、「自堕落な欲望に支配されて無様な姿を晒す」ような作品を期待したい。
ソロ08
2020-11-06