「突然あなたの前から旅立つ私を許してください」「私のことは探さず幸せになってください」「さようなら、ありがとう」
希崎ジェシカはこの作品の後、1作のみ長年専属してきたアイポケに戻り、引退作を出して業界を去る。つまりこの作品は引退直前のラストドラマであり、一番重要なのは最後に希崎ジェシカ演じる人妻が別れを告げるシーンで、その画を成立させるために逆算的に物語が構築されている。
ずっとあなたを愛してる。でも私はもうあなたの元へは戻りませんというのがこの作品のメッセージであり、それをどう受け取るかは見る側の希崎ジェシカへの思い入れ次第だろう。筋書きは『あなたに愛されたくて。』でありながら、この作品だけオリジナルタイトルになっているのも、つまりはそういうことだと思う。
終盤のドラマ以外は人妻への横恋慕によるNTRというありがちな話であるが、拒絶、半堕ち、完堕ちという王道を演じる女優も最終章にふさわしい演技を見せていて、相手役の小田切も夫役の定番俳優も気合の入った演技で作品に貢献している。
特別な意味合いを考慮せず作品だけ見れば、質は高いものの既存ドラマの焼き直しの域は出ないが、ラストシーンで去っていく希崎ジェシカの美しいワンショットにつなげることに成功した時点で、この作品は満点なのだと思う。
女優に特に思い入れがなければフラットにNTRドラマとして見るだけでまったく問題ないが、後追いでも少なからず彼女の作品に接したファンなら、多少はそうしたことを念頭に置いて見てほしいと思う。
ちなみに現在の希崎ジェシカは業界を去り美容クリニックのスタッフとして働いていることを公表しているが、事務所は退所せずにSNSやファンクラブも継続中。ドラマの人妻ほどは遠くへ行ってしまわなかったようである。
じっくりゆっくり
2021-10-13