監督が以前マドンナで担当した『孕ませゲーム』の痴女アレンジといった印象の作品。子作りに非協力的な旦那や、同じマンションに住む子持ち夫婦から意識的・無意識的に発せられる幸せマウントへのストレスが限界を超えた人妻が、夫たちを孕まされ寝取りしていくというのが基本ライン。
旦那とはセックスレスなので妊娠したらアウトという状況設定は、アリバイセックスで中途半端なリアリティーにブレない感じがよかったし、小倉由菜が安定の演技力で演じる人妻の狂気も素晴らしいのだが、冒頭から登場してトリも務める男優・北が演じる夫の上司の存在が中途半端。
メインに近い扱いにも関わらずマンションの住人でもないし、その妻の存在感もないためここだけ浮いてしまっている。せめて電話口ででも北の妻からマウント嚙まさせるべきだったし、人妻が最後にはマンションの男たちが誰でも好きな時に勝手に家に入って来て妊娠させていい孕ませ公衆便所になるという振り切れたエンディングからすると、「近所の」というコンセプトはブレてはいけなかったような。
さらに妻帯者なのに指輪してない夫が多すぎて「既婚男性ばかり」も演出しきれておらず、特にメイン男優の堀尾と北がどっちも指輪なしは論外。結果として「近所」も「既婚男性」も全うできていないし、そもそも妻子持ちであることが伝わらない端役まで登場させるくらいなら、いっそ子供のほうを寝取ってしまえば指輪は要らないし平和な家庭を破壊するという目的は達せられる。電話の向こう側の存在として登場する北の息子みたいなキャラが使えそうだし、『孕ませゲーム』のように同じマンションの男なら誰でもOKくらいの設定のほうが、演出のハードルは低かったんじゃないだろうか。
後半のセックスはきとるね川口監督が声出せない系の演出苦手なのを逆手にとっての、どうせ妊娠したら全て発覚するんだからいっそバレたほうが興奮する感じの開き直りセックスなのはいいアイデアだったし、カラミ自体は女優が振り切れたエロっぷりを発揮してて悪くなかっただけに、ドラマの枠組みの作り方が色々と雑だったのがもったいなかった作品。次作があるなら制作がちゃんと演出可能なコンセプトに統一性を持たせる形で内容がアップデートされてることを期待したい。
じっくりゆっくり
2023-03-10