『犯●れる度に美しく』シリーズやマドンナの『妻が淫らに輝くとき…。』シリーズのように、地味な人妻が男に求められることで女として覚醒していく作風と風俗ものを組み合わせたような作品。きとるね川口監督の作品でよく見かける、旦那が結婚指輪してないみたいな手抜きがないのは、冒頭から「しょせんこれAVなんで」感がなくて良い。
ジャケには承認願望がどうこうと書いてあるが、浮気してる夫への仕返し合法浮気として風俗で働き始めた感じ。自分を女として見ていない夫やマウント取って来る高圧的な客といった、自分の価値を否定してくる男たちと違い、指名を繰り返してくれる優しく紳士的な阿部ちゃんに嬢としてというより女として心と体を開いていく筋書き。あくまで風俗の客と嬢という関係でありながら、最初のビジネスキスから運命的な相性の良さが感じられ、ゴム姦がナマ中出しに変わり2人の関係が疑似的な本気に変わっていく。
嬢としての人気も上がり、女として自信を取り戻した人妻は夫が浮気相手にふられたらしいことを察して店を辞める。夫との関係が修復されそうな状況にも関わらず、そんなの関係ねえとばかりにゴミ捨て場で大胆にセックスを求めてくる終盤まで悪くはないのだが、たとえ浮気されても社会的経済的安定を捨てるつもりはなく、虐げられているようでありながら上手く立ち回る女の強靭さ、したたかさが伝わる台本でありながら、やりっぱなしの後半セックスやあいまいなエンディングはいまいちアイデア不足のまま、雰囲気でやっつけた感が否めず尻すぼみ。せっかく冒頭で夫と阿部ちゃんが顔見知りな状況を作ったのも活かせてないし、もう少しいろいろな顔を使い分けて欲しいものは手に入れる女の怖さがストレートに伝わるようなインパクトが欲しかった。
ただ、最近までのきとるね川口監督ならゴミ捨て場のドア開けっぱなしでの声出しセックスがAV的すぎて白けちゃってたと思うけど、鍵まで閉めるひと手間をかけるようになったのは良い傾向。
三宮つばきは無力そうでありながらしたたかというドラマ的な雰囲気は醸せててよかったんだけど、前述のとおり後半セックスがいまいち物足りず、もう少し開花した人妻の大胆な積極性が見られればというのが残念。
クオリティが低いわけではないけど、ここからもう一工夫できるかどうかで、シリーズ化できるか分かれそうなボーダーラインの作品だと思う。
じっくりゆっくり
2023-08-03